6 全般
6.1 不満点
6.2 アカハラ

6 全般
6.1 不満点
大学非常勤講師の労働・教学条件について,「不満がある」人は,「専業非常勤」の89%,「定年後型」の77%,「常勤職あり」の71%です.

表 6.1 大学非常勤講師の労働・教学条件について不満はあるか (設問6.1) 単位:人
区分 常勤職あり 専業非常勤 定年後型 全員
ある 91 (71%) 266 (89%) 34 (77%) 391 (83%)
ない 37 (29%) 33 (11%) 10 (23%) 80 (17%)
総回答数 128 (100%) 299 (100%) 44 (100%) 471 (100%)

グラフ6.1.1 グラフ6.1.2 グラフ6.1.3 グラフ6.1.4

最も不満な点を3つ選んでもらいましたが「3つでは足りない,全部が不満」といったメモをつけた人が何人もいました.多くの人はここに挙げたすべての項目に不満でしょうが,どの項目が「最も」不満であるかを尋ねています.

その3つの中に「賃金が低い」を入れた人が74%,「雇用が不安定」を入れた人が61%です.次いで「健康保険・年金がついていない」 (41%),「研究者として扱われていない」 (38%) と続きます.「施設が不十分」「教学上の権限がない」「クラスの人数が多い」「産休・育児休暇・病気休暇等の保障が充分でない」の項目を3つの中に選んだ人はそれぞれ24%,19%,15%,14%と比較的少なくなっていますが,それでも「最も不満な3点」のひとつに入れた人が一定数います.この4項目は立場や状況によって重要度が異なってくるのでしょうが,どれも重要な項目のひとつです.

「その他」には「専任がすべき事務仕事を頼まれる」「身分証がほしい」「出講時間の希望が通らない」「教材費が出ない」「納得できない減ゴマ」「休講1回につき補講1回が義務付けられていること (病気や学会でも休めない)」「休日授業」「授業の感想アンケートが苦痛」「事務連絡が不十分」などの回答がありました.

表 6.2 最も不満な点 (3つ選択; 不満のある人のみ) (設問6.2) 単位:人
区分 全員
賃金が低い 291 (74%)
雇用が不安定 237 (61%)
健康保険・年金がついていない 162 (41%)
研究者として扱われていない 149 (38%)
施設が不十分 93 (24%)
教学上の権限がない 74 (19%)
クラスの人数が多い 58 (15%)
産休・育児休暇・病気休暇等の保障が充分でない 53 (14%)
その他 19 (5%)
総回答数 1136 (291%)
※パーセントは不満のある人 (391人) に対する割合


6.2 アカハラ
アカハラ (アカデミックハラスメント) の被害にあったことのある人は,「専業非常勤」で34%,「常勤職あり」で14%,「定年後型」で2%です.

アンケート用紙にはアカハラの定義として「アカハラ (アカデミックハラスメント) とは,ここでは,研究教育の場における上司や指導教員からの嫌がらせ・研究妨害・昇任差別・退職(退学)勧奨等を指します.セクシャルハラスメントも含めて回答してください」という記載をつけました.

表 6.3 回答者自身がアカハラの被害にあったことがあるか (設問6.3) 単位:人
区分 常勤職あり 専業非常勤 定年後型 全員
ある 18 (14%) 100 (34%) 1 (2%) 119 (25%)
ない 111 (86%) 195 (66%) 45 (98%) 351 (75%)
総回答数 129 (100%) 295 (100%) 46 (100%) 470 (100%)

グラフ6.3.1 グラフ6.3.2 グラフ6.3.3 グラフ6.3.4

アカハラの加害者のトップは,やはり「(元) 指導教員」(42%),次いで「非常勤先の専任」(39%),「同僚・先輩・後輩」35%です.

表 6.4 アカハラの加害者 (複数回答; アカハラ被害経験者のみ) (設問6.4) 単位:人
区分 全員
(元) 指導教員 50 (42%)
非常勤先の専任教員 47 (39%)
同僚・先輩・後輩 42 (35%)
大学の職員 21 (18%)
その他 19 (16%)
総回答数 179 (150%)
※パーセントはアカハラ被害経験者 (119人) に対する割合

アカハラの内容は「非常勤講師職の採用・雇用・仕事に関係するもの」が46%,「研究に関係するもの」36%,「専任職の採用・雇用・仕事に関係するもの」が31%です.

選択肢がおおまかすぎたため,このデータだけからは実態がよくわからないのですが,「その他」の記述欄には,「論文の発表を差し止められた」,「担当授業を新年度の始まる1ヶ月前に全部取り上げられた」,「専任教員が,非常勤講師の扱いに差をつける.そのことから,非常勤講師同士の関係が悪化する」,「『非常勤なんて…』や『いつやめて頂いてもいいです』が口ぐせになっている」,「無理なことを要求し『出来ない』というと解雇をにおわす」,「なぜ毎週一緒に飲みに行かないのかと居酒屋でどなられた」,「つきあいを拒否したら電話攻めにあった」,「自宅にひんぱんに時間をとわず電話をかけてくる」,「侮蔑的な態度」,「専任教員同士の人事上の権力争いに非常勤をまきこむ」といった具体例が寄せられました.自由記述にも関連の記載があります.

表 6.5 アカハラの内容 (複数回答; アカハラ被害経験者のみ) (設問6.5) 単位:人
区分 全員
非常勤講師職の採用・雇用・仕事に関係するもの 55 (46%)
研究に関係するもの 43 (36%)
専任職の採用・雇用・仕事に関係するもの 37 (31%)
差別 (女性・障害者・部落・民族等) に関係するもの 31 (26%)
その他 26 (22%)
性的ないやがらせ 18 (15%)
総回答数 210 (176%)
※パーセントはアカハラ被害経験者 (119人) に対する割合


サマリーと目次    1 回答者の構成  2 働き方  3 収入支出  4 健康保険,年金  5 雇用問題  6 全般  自由記述  付録