1 回答者の構成
1.1 大学教員の分類と定義
1.2 性別,国籍,年齢
1.3 地域
1.4 世帯

1 回答者の構成
1.1 大学教員の分類と定義
大学教員には大きく分けて常勤の教員と,非常勤の教員がいます.常勤の教員は,授業や研究の他に教授会や入試業務等の校務も行う,フルタイマーの任期のない労働者で,肩書きに応じて「教授,助教授,講師,助手」などと呼ばれています.非常勤の教員は,授業の時間だけ大学に来るパートタイマーの1年契約の労働者で「非常勤講師」と呼ばれています.大学の教員は,従来はこの2種類だけでしたが,現在は,常勤であっても任期があったり,校務がなかったり,また給料の水準も様々な雇用形態が増えてきています.

さて,そのうち,大学非常勤講師には,他に常勤職 (本務,本業) があって非常勤講師もしている人 (例えば他の大学の専任教員) と,専ら非常勤講師をして生計をたてている人がいます.この報告書では,非常勤講師を大きく常勤職のある人とない人に分け,前者を「常勤職のある人」と呼び,後者を「専業非常勤講師」と呼んでいます.「専業非常勤講師」 → 「専業非常勤」,「常勤職のある人」 → 「常勤職あり」という短い表現を使っている場合もあります.

さらに「常勤職のある人」を「大学専任」と「大学外常勤」に分類しました.「大学専任」とは大学専任教員をしている人,「大学外常勤」というのは,会社や大学以外の学校や研究所に常勤している人や弁護士・住職・会社経営・ジャーナリストなどのことです.

「専業非常勤講師」は「大学非常勤のみの人」と「予備校等兼職」に分類しています.「大学非常勤のみの人」とは,大学での非常勤だけを仕事としている人,「予備校等兼職」というのは,予備校・専門学校・塾・大学以外の学校などでの非常勤職を兼職している人のことです.

この報告書では,これ以外に「定年後型」という分類を作っています.「定年後型」は大学などを定年退職した後に,大学で非常勤講師をしている人のことで,労働としては大学非常勤だけをしているのですが,年金収入等の非常勤以外の収入が多いことなど,様々な項目で他の「専業非常勤講師」とは異なる回答があるため,別の分類としてあります.

多くの項目では「専業非常勤」「定年後型」「常勤職あり」の3分類で統計をとっていますが,必要な場合は,更に細かい5分類で統計をとりました.

なお,アンケートの設問1.5で,自分が分類のどれにあてはまるかを回答してもらいましたが,他の項目の回答内容と照合して矛盾する場合は,分類を訂正しました.

ページの下にこれらの用語の簡単な解説をつけてあります.

大学教員 専任教員 任期なし
任期あり
非常勤講師 常勤職あり
専業非常勤講師
定年後型


1.2 性別,国籍,年齢
性別をみると,「常勤職あり」と「定年後型」では,男性の方が圧倒的に多く,それぞれ82%, 85%が男性ですが,「専業非常勤」では,女性の方がやや多く,57%が女性です.

表 1.1 性別 (設問1.1) 単位:人
区分 常勤職あり 専業非常勤 定年後型 全員
109 (82%) 131 (43%) 40 (85%) 280 (58%)
24 (18%) 171 (57%) 7 (15%) 202 (42%)
総回答数 133 (100%) 302 (100%) 47 (100%) 482 (100%)

グラフ1.1.1 グラフ1.1.2 グラフ1.1.3 グラフ1.1.4

国籍は,日本国籍以外が「専業非常勤」で7%でした.外国籍の非常勤講師は多いのですが,回答者に少なかったのは,アンケートが日本語版しかなかったことも影響しているでしょう.アンケートの英語 (等) 版を作って欲しい,という声も自由記述にありました.

表 1.2 国籍 (設問1.2) 単位:人
区分 常勤職あり 専業非常勤 定年後型 全員
日本 130 (98%) 282 (93%) 47 (100%) 459 (95%)
その他 3 (2%) 21 (7%) 0 (0%) 24 (5%)
総回答数 133 (100%) 303 (100%) 47 (100%) 483 (100%)

年齢は,「常勤職あり」では半数近く (48%) が51歳以上ですが,「専業非常勤」では44%が40才以下で,20,30代が多くなっています.ただし「専業非常勤」でも40代が27%,51歳以上も29%おり,けっして若年層のみということではありません.平均年齢は,「常勤職あり」が48.3歳,「専業非常勤」が42.4歳で,「専業非常勤」の方が6歳ほど若くなっています.

表 1.3 年齢 (設問1.3) 単位:人
区分 常勤職あり 専業非常勤 定年後型 全員
30歳以下 5 (4%) 17 (6%) 0 (0%) 22 (5%)
31〜35歳 9 (7%) 60 (20%) 0 (0%) 69 (14%)
36〜40歳 16 (12%) 55 (18%) 0 (0%) 71 (15%)
41〜45歳 27 (20%) 48 (16%) 0 (0%) 75 (16%)
46〜50歳 12 (9%) 33 (11%) 0 (0%) 45 (9%)
51〜55歳 18 (14%) 39 (13%) 0 (0%) 57 (12%)
56〜60歳 25 (19%) 30 (10%) 4 (9%) 59 (12%)
61〜65歳 12 (9%) 14 (5%) 16 (34%) 42 (9%)
66〜70歳 7 (5%) 4 (1%) 21 (45%) 32 (7%)
71〜75歳 2 (2%) 1 (0%) 4 (9%) 7 (1%)
76歳以上 0 (0%) 0 (0%) 2 (4%) 2 (0%)
総回答数 133 (100%) 301 (100%) 47 (100%) 481 (100%)
平均 48.3才 42.4才 66.3才 46.3才

グラフ1.3.1 グラフ1.3.2 グラフ1.3.3 グラフ1.3.4

表 1.4 年齢層の男女の内訳 単位:人
区分 常勤職あり (男:女) 専業非常勤 (男:女) 定年後型 (男:女)
30歳以下 5 (5 : 0) 17 (9 : 8) 0 (0 : 0)
31〜35歳 9 (4 : 5) 60 (24 : 36) 0 (0 : 0)
36〜40歳 16 (12 : 4) 55 (28 : 27) 0 (0 : 0)
41〜45歳 27 (21 : 6) 47 (22 : 25) 0 (0 : 0)
46〜50歳 12 (12 : 0) 33 (15 : 18) 0 (0 : 0)
51〜55歳 18 (17 : 1) 39 (17 : 22) 0 (0 : 0)
56〜60歳 25 (20 : 5) 30 (9 : 21) 4 (1 : 3)
61〜65歳 12 (11 : 1) 14 (3 : 11) 16 (15 : 1)
66〜70歳 7 (6 : 1) 4 (2 : 2) 21 (18 : 3)
71〜75歳 2 (1 : 1) 1 (1 : 0) 4 (4 : 0)
76歳以上 0 (0 : 0) 0 (0 : 0) 2 (2 : 0)
総回答数 133 (109 : 24) 300 (130 : 170) 47 (40 : 7)
※年齢と性別双方に回答した人のみ

1.3 地域
居住地域は,関東地方が209人 (44.5%),関西地方が254人 (63.5%) と,両者の合計が全体の,96.5%を占めています.回答者の居住地域が関東と関西にかたよっているのは,首都圏,京滋,阪神の非常勤講師3組合がそれぞれの地域で,アンケート用紙を配布したためです.

表 1.5 住んでいる地域 (設問1.5.1) 単位:人
区分 常勤職あり 専業非常勤 定年後型 全員
宮城 0 (0%) 1 (0%) 0 (0%) 1 (0%)
茨城 0 (0%) 0 (0%) 1 (2%) 1 (0%)
埼玉 3 (2%) 10 (3%) 1 (2%) 14 (3%)
千葉 5 (4%) 14 (5%) 1 (2%) 20 (4%)
東京 25 (19%) 65 (22%) 11 (23%) 101 (21%)
神奈川 27 (20%) 41 (14%) 5 (11%) 73 (15%)
山梨 0 (0%) 0 (0%) 1 (2%) 1 (0%)
長野 0 (0%) 2 (1%) 0 (0%) 2 (0%)
静岡 1 (1%) 0 (0%) 0 (0%) 1 (0%)
愛知 0 (0%) 3 (1%) 0 (0%) 3 (1%)
滋賀 5 (4%) 11 (4%) 4 (9%) 20 (4%)
京都 24 (18%) 65 (22%) 9 (19%) 98 (20%)
大阪 16 (12%) 49 (16%) 5 (11%) 70 (15%)
兵庫 11 (8%) 23 (8%) 6 (13%) 40 (8%)
奈良 9 (7%) 14 (5%) 2 (4%) 25 (5%)
和歌山 1 (1%) 0 (0%) 0 (0%) 1 (0%)
島根 1 (1%) 2 (1%) 0 (0%) 3 (1%)
岡山 1 (1%) 1 (0%) 1 (2%) 3 (1%)
福岡 1 (1%) 0 (0%) 0 (0%) 1 (0%)
大分 1 (1%) 0 (0%) 0 (0%) 1 (0%)
鹿児島 1 (1%) 0 (0%) 0 (0%) 1 (0%)
総回答数 132 (100%) 301 (100%) 47 (100%) 480 (100%)

表 1.6 非常勤先の大学のある地域 (複数回答) (設問1.5.2)
区分 回答数 区分 回答数 区分 回答数 区分 回答数
福島 1 (0%) 神奈川 103 (21%) 京都 163 (34%) 岡山 3 (1%)
茨城 1 (0%) 山梨 7 (1%) 大阪 120 (25%) 愛媛 1 (0%)
栃木 3 (1%) 静岡 2 (0%) 兵庫 67 (14%) 福岡 1 (0%)
埼玉 60 (13%) 愛知 6 (1%) 奈良 25 (5%) 大分 1 (0%)
千葉 19 (4%) 三重 6 (1%) 和歌山 1 (0%) 鹿児島 1 (0%)
東京 146 (30%) 滋賀 41 (9%) 島根 1 (0%) 総回答数 779 (162%)
※パーセントはこの項目に回答のあった実人数 (480人) に対する割合

1.4 世帯
世帯の構成は,「常勤職あり」と「専業非常勤」では,それぞれ,配偶者と子,配偶者,ひとり世帯の順で多くなっています.「配偶者」には結婚していない同居パートナーも含めています.

表 1.7 世帯の構成員 (設問1.6) 単位:人
区分 常勤職あり 専業非常勤 定年後型 全員
ひとり世帯 19 (14%) 64 (21%) 1 (2%) 84 (17%)
3 (2%) 43 (14%) 1 (2%) 47 (10%)
配偶者 26 (20%) 76 (25%) 22 (47%) 124 (26%)
1 (1%) 5 (2%) 3 (6%) 9 (2%)
配偶者と子 63 (47%) 81 (27%) 10 (21%) 154 (32%)
配偶者と親 4 (3%) 6 (2%) 4 (9%) 14 (3%)
配偶者と子と親 15 (11%) 18 (6%) 5 (11%) 38 (8%)
その他 2 (2%) 8 (3%) 1 (2%) 11 (2%)
総回答数 133 (100%) 301 (100%) 47 (100%) 481 (100%)

グラフ1.7

扶養家族が1人以上あると答えた人は,回答者のうち,「常勤職あり」で79%,「専業非常勤」で45%,「定年後型」で87%です.当初,回答のための選択肢に「0人」の項目が抜けていたので,後で追加しました.回答数が少ないのはそのためと思われます.

表 1.8 扶養家族の人数 (設問1.7) 単位:人
区分 常勤職あり 専業非常勤 定年後型 全員
0人 27 (21%) 142 (55%) 6 (13%) 175 (41%)
1人 39 (30%) 69 (27%) 26 (58%) 134 (31%)
2人 23 (18%) 23 (9%) 9 (20%) 55 (13%)
3人 31 (24%) 14 (5%) 3 (7%) 48 (11%)
4人以上 8 (6%) 11 (4%) 1 (2%) 20 (5%)
総回答数 128 (100%) 259 (100%) 45 (100%) 432 (100%)
※「0人」の選択肢は一部の用紙に後で追加

サマリーと目次    1 回答者の構成  2 働き方  3 収入支出  4 健康保険,年金  5 雇用問題  6 全般  自由記述  付録