2004年3月10日付けの,京都大学当局から,全学共通科目担当非常勤講師にむけての通知.これを読んだ者は,文部科学省が予算をつけなかったが,学内でなんとかやりくりをしてくれた,と理解する.
しかし実際は,この文書に先立つ2004年2月23日の非常勤講師組合の文部科学省への陳情の中で,「来年度の運営費交付金は、前年度の専任教員給と非常勤講師給を上回る人件費を積算として提示している」と,文科省の法人化の担当者が回答しており,文科省は予算をつけていることが確認されている.(
『控室』第50号参照)
運営交付金の総額は,数々の項目を積算して決定されるが,各国立大学は積算の際の各項目にしばられることなく,自由に使うことができるため,このようなことが起こっている.例えば非常勤講師給として3億円積算されていたとしても,その3億円を別のことに使うのは原則各国立大学の自由なのだ.
「非常勤講師給ゼロ査定」というデマも同様の話である.「非常勤講師給ゼロ査定」は噂として国立大学の中で広く流れているものだが,誰も根拠は示したものはいない.「非常勤講師給ゼロ査定」は,3月19日の『赤旗』が京大総長の談話としても掲載しているが (
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik3/2004-03-19/04_01.html),根拠のないデマを理由に減給や馘首にされては非常勤講師はたまらない.万が一,根拠があるなら示して欲しい.
なお,この文章の後の,2004年3月15日に,文科省から『
2004年3月15日法人化後における非常勤講師の給与について(通知)』という文書が各国立大学に送付されている.こちらも参照されたい.
京都大学全学共通科目担当の非常勤講師の見直しについて(通知)
平成16年度京都大学
全学共通科目担当非常勤講師 各位
京都大学高等教育研究開発推進機構長
丸山正樹
京都大学全学共通科目担当の非常勤講師の見直しについて(通知)
拝啓 平素は、本学の全学共通教育にご協力を賜り、誠にありがとうございます。
さて、すでにお聞き及びのこととは存じますが、国立大学の法人化に伴い非常勤講師手当が予算措置されないことになりました。平成16年度につきましては、すでに内々にご依頼し内諾を得ていることもあり、学内措置により予算が確保できる見通しです。
しかしながら、平成17年度以降につきましては、これまでの様な予算措置が見込めないことから、本学の全学共通科目にかかるカリキュラム及び非常勤講師の抜本的な見直しを図ることが必要になりました。本機構におきましては、出来るだけ早い時期に結論を得る所存でありますが、平成17年度の非常勤措置にかかる予算規模及び任用につきましては、全学的な委員会等における検討を経てからということになります。
したがいまして、委員会における検討結果によっては、平成17年度にかかる非常勤講師を大幅に削減しなければならない事態が予測されますので、ご承知おき願います。特に、従前から本学の全学共通科目担当の非常勤講師としてご就任願っていた先生におかれましては、ご理解賜りますようよろしくお願い申し上げます。
なお、本学の全学共通教育の現状を鑑みて、全ての科目にわたって非常勤講師を無くすことは本学の教育に支障をきたすおそれがあり、必要な科目については引き続き非常勤手当が措置される見込みであることを申し添えます。
敬具