第1回学習会のお知らせ

奨学金問題と高学歴ワーキングプアー

最近になってやっと高学歴ワーキングプアーの問題にも光が当てられるようになってきました。高学歴ワーキングプアーには、大きく分けて二つの事例が考えられます。一つは若手の場合で、大学院を出たけれども大学における研究職のポストは限られているし、一般企業でもドクター修了者は敬遠されて就職がままならず、かといって非常勤講師のポストも満杯状態でありつけないために、しかたなくかつかつの生活を余儀なくされるという若手の研究者の事例です。もう一つの事例は、ある程度の非常勤のコマをもっていて当面の生活は貧しいながらもなんとかやっているが、これからのことや老後のことを考えるとお先真っ暗という中高年の場合です。

どちらにしても、高等教育への教育予算を縮小する一方の政府・文部科学省の貧困な教育行政がまねいた研究教育先細り現象の端的な現われであると同時に、私たちと直接に雇用関係を結んでいる大学の安上がり経営による犠牲押し付けの結果にほかなりません。

さらに重大化しているものに奨学金の問題があります。無利子であったのが有利子化され、それどころか、返済が延滞している場合には、個人信用情報機関に通報されて、クレジットカードや住宅ローンが組めなくなるという事態が起きています。大学院修了者の場合は、上にも書いたように、生活がままならない場合が多く、奨学金を返済しようにできない状況があります。研究者を目指すものにとっては奨学金は必須であり、非常勤講師となっても日本の研究教育に大きな貢献をしているわけで、本来なら返還不要であるべきでしょう。それが有利子化されたり、返済延滞を理由にブラックリストに載せられるなどもってのほかです。

今回はこのような問題をテーマに取り上げ、講師に水月昭道さんをお呼びします。水月さんは、『高学歴ワーキングプアー』(光文社新書)の著者として著名ですが、環境行動学などを専門とする研究者で、現在、立命館大学衣笠総合研究機構研究員・浄土真宗本願寺派 僧侶をしています。

多数の皆さんのご参加をお待ちしています。

日時7月25日(土)午後2時〜5時
場所エルおおさか 研修室3
講師水月昭道さん(立命館大学衣笠総合研究機構研究員・浄土真宗本願寺派 僧侶)

エルおおさかは、大阪地下鉄堺筋線北浜駅と谷町線(または京阪電車)天満橋の中間に位置します。