3月9日(金)に関西圏大学非常勤講師組合は、首都圏大学非常勤講師組合、全国一般労働組合東京南部大学教員支部、東海圏大学非常勤講師組合、沖縄大学非常勤講師組合と合同で、文部科学省と厚生労働省との交渉を行いました。この交渉は、「パートタイム労働者の均等処遇を実現する議員連盟」(通称「パ ート議連」)が仲介してくれたものです。今回の交渉に参加したのはパート議連幹事長の吉川春子議員です。
冒頭に、今国会に提出される「パート労働法」改正案の説明がありました。その なかで厚生労働省の若い役人は、今回の改正の趣旨を、H15年の「指針」改正 の主要部分を法律に格上げすることだとして、その内容を、
1.不合理な格差の是正、
2.納得性の向上、
3.正規職員への採用機会の優先、
に絞って説明しました。
吉川議員が今回の法改正でどの程度のパートが救済されるのかと質問したところ、 厚生労働省は差別禁止の部分で4%〜5%、その他の項目では100%が対象に なると答えていましたが、専門家の分析によると実際には1%未満だろうと吉川 議員がコメントしていました。
本題に入ると、今回の交渉の主な項目は次の三つになります。
(1) 先ごろ、LEC大学に対して改善勧告が出されたことはご存知かと思います が、株式会社立の大学の認可について規制を強化するようにという要望に対して、 文部科学省は、規制緩和によって誕生した株式会社立大学の問題については、 LECの法令違反は言うまでもなく、いろいろ問題があるが、設置基準の改正、書類審査の強化、事後検証の強化によって大学としての質の確保をしていくと考えており、 株式会社立大学の解禁を見直すつもりはないという回答でした。しかしLECにたいして文部科学省が改善勧告を出したことは、交渉の度にそのひどい実態を指摘してきた私たちとしては、大きな前進だと評価しています。
(2) 最近偽装請負が大手の会社で行われていることが新聞報道でも見られますが、 早稲田大学でも偽装請負と思われるようなケースがあり、これについて追求しま した。両省とも、業務委託が偽装請負になっているのかどうかの判断は個々のケ ースにおいて労働局などが行うものとして責任回避の回答をしていましたが、そ もそも大学の授業は大学と直接に雇用関係のある教員によってなされるべきであ り、業務委託があるとしても、それは補助的業務に限られるべきだとする前回の 交渉時の回答を確認しました。関西圏でも早稲田大学のように外国語の授業を業務委託するようなケースが登場する可能性もあり、組合としても監視を強めたいところです。
(3) 非常勤講師の社会保険加入問題では、社会状況の変化から適用範囲の拡大が 検討されているにも関わらず、非常勤講師は合算が認められないために相変わら ず対象外に置かれることが分かりました。交渉後の反省会において、この問題を 打開するには合算を認めさせるための全国的な運動が必要であるという意見が出 されました。秋の交渉に向けて全国的な運動に取り組むことが検討される予定です。