2006.11.27 教育基本法「改正」に断固反対する!

 教育基本法「改正」案が与党の強行採決で衆議院を通過し、参議院での審議に 入った。安倍首相は教育基本法を「改正」する理由として、子どもたちに規範意 識が足りないのは、これまでの倫理・道徳教育が十分ではなかったからだとし、 現行の学習指導要領の「道徳」の項目をそのまま法律に格上げし(二条)、国家 の行う道徳教育に法的拘束力を持たせることとした。私たちは国家を道徳の教師 にすることに断固反対する。

   さらに、16条は、「教育は、不当な支配に服することなく、この法律及び他の 法律の定めるところにより行われる」と規定した。当初の案「行政は、不当な支 配に服することなく」いう文言は各界からの抗議もあって現行のまま残されたも のの、「他の法律」を挿入することによって、政府のやることは不当な支配では ないという解釈を前提にすることに成功した。つまり、「他の法律」のなかには 行政命令や通達などが含まれる可能性があるため、これらに異議を唱える教職員 組合や教育界・PTAの行為こそが、教育に対する「不当な支配」と位置づけら れてしまうのである。国民を法律で縛りながら、政府にはフリーハンドをあたえ る「改正」に私たちは断固反対する。

 「愛国心」をめぐる一連の議論に関して、自民党の「改正」案説明では、我が 国を愛し、さらにその発展を願い、それに寄与する態度を養うことと「心」を培 うこととは一体としてなされることであり、改正後は、学校において国を愛する 態度の育成を適切に行うよう文科省に求めるとしている。ここからもわかるよう に、日本の学校で学んでいる多くの在日外国人児童・生徒の存在は完全に埒外に 置かれている。国会での審議の多くは、民主党の「新法」案も含めて、かれらを いわば「抹消」することでその議論を成立させているといわざるをえない。この ことは、在日外国人の人権擁護という、真の国際化を目指すべき日本においては、 国際的汚点でしかない。

   これらを総合的に考えると、今回の「改正」は、およそ憲法が保障する「教育 の自由」(国家・政治からの自由および教育実践への自由)とは正反対のもので あり、教育への国家介入を合理化することで、教育を国家の道具とするものであ る。教育に携わるものとして、このような「改正」を断じて認めるわけにはいか ない。

関西圏大学非常勤講師組合執行委員会