大学非常勤講師の1コマ当たり月額50,000円要求の根拠

※立命館大学の総務部長が,我々の1コマ当たり月額50,000円 (年60万円) 要求の根拠を示せというので,古い資料だが,再掲する.2005.10.24

I 京都の4私大,同志社大学,立命館大学,京都産業大学,龍谷大学の専任教員の1コマ当たりの賃金はいくらか.

条件(1) 1998年度,年収モデルは,基本給,臨時給与,家族手当,住宅手当,扶養家族手当て,入試手当て,その他の合計で税込年収総額を示す.モデル賃金は,京滋地区私立大学実態調査1999年版(1998年調査)による.

条件(2) 共済金長・短あわせて216/1000を大学側と折半するものとする.すなわち,108/1000を大学側負担とし,大学側負担分を年収に加算する.(専業非常勤講師は,私学共済にいれてもらえず,社会保険は,多くが,国民健康保険と国民年金に入り,自前で掛け金を支払っているので,それにそろえる.)

条件(3) 研究費は様々の種類があるが,年間500,000円とする.

条件(4) 専任教員のコマ数を6コマとする.

年間モデル賃金
(基本給,臨時給与,家族手当,住宅手当,扶養家族手当て,入試手当て,その他の合計で税込年収総額: 単位千円)
  30歳講師
(独身)
35歳助教
(扶2)
40歳助教
(扶3)
40歳教
(扶3)
45歳教
(扶3)
50歳教
(扶3)
55歳教
(扶2)
60歳教
(扶1)
同大 6,968 8,992 10,716 10,715 12,109 13,158 13,785 14,065
立命 6,403 8,608 9,885 10,042 11,412 12,498 13,093 13,282
京産 7,327 9,379 10,321 10,635 11,850 13,029 13,720 14,023
龍谷 7,536 9,366 10,968 10,968 12,357 13,550 14,174 14,477
平均 7,059 9,086 10,473 10,590 11,932 13,059 13,693 13,962

これらの平均年収[(基本給+住手+家手)×12ヶ月+1時金6.6ヵ月+その他手当て163750円]
= 11,232,000円…A

共済金大学側負担分 595.000円(1ヵ月の基準内賃金)×108/1000=64,260円×12ヶ月
= 771,120円…B

個人研究費 = 500,000 円…C

専任教員のモデル平均年収 A+B+C=12,503,120円

専任教員の1コマ当たり月額 12,503,120円/(6コマ×12)=173,654円
非常勤講師の約7倍となる.

II 最低ラインのコマ賃金はいくらか?

現実にはありえないが,専任教員が,一日8時間,一週間5日,年間を通じて働くとする (週20コマもつことになる).

年間労働時間 8時間×5日×4週×12ヵ月=1,920時間
一時間当たりの賃金 12,503,120円/1,920 時間=6,512円
1ヵ月1コマ当たりの賃金 (1コマ=2時間) 6,512円×8時間 (週1コマで1ヵ月8時間働く) = 52,096円

III 月額50,000円が差別のない賃金の最低ライン,これ以下は,根拠の一切ない差別賃金である.

この最低ラインから,1コマあたりの時間数を適切にして調整していくことができる.

例えば,1コマあたり,教える時間1.5時間,大学での授業準備時間 (印刷,教材の点検) 30分,授業のための研究時間2時間とすれば,1コマあたり合計月16時間 (4時間×4週) となる.従って1コマあたり月額6512円×16時間=104,192円となる.

あるいは授業準備のための研究時間,月16時間とすれば,合計24時間となり,1コマ月額6512円×24時間=156,288円となる.

夏休み,冬休み,春休みを入れて,計算することもできる.