当組合から前もって提出しておいた「2004年度労働条件改善要求項目」について同志社側が回答し,組合が再質問するという方法で議事が進行した.
1 正式な団交と位置付けること(以下の項目について責任を持って回答できる担当者,理事,および教学担当理事が出席すること)
<大学> 懇談会ということにしたい.
<組合> 総務部長に理事並みの権限はあるのか.
<大学> 理事の権限があるかといわれると困る.
<組合> 毎回団交をお願いしているし,他大学では「団交」としているところが増えてきているので,考え直してもらいたい.次回からは権限のある人が出席するべき.
<大学> 要望はお聞きしておくが確約は出来ない.
2 話し合いの後,文書で回答すること.
<組合> 前回,話し合い後の文書から「団交」「確認書」という文字を消去された.
<大学> 双方で確認できたことを文書化する.今回については,今日の記録を後日お渡しする.総務部長名で作成する.
3 貴大学の現状についての資料提示
<組合> 資料(教員数,雇い止めになった非常勤数と新規採用の非常勤数,担当コマ数,給与総額,給与に対する助成額等)を直前にいただいたため,持ち帰って検討する.専任の給与内訳は?また,教育と研究との関係は?
<大学> 専任の給与内訳については,はっきりとはわからない.教育と研究との関係は両者をピシッと分けることは困難である.
4 次年度の契約を遅くとも10月末までに本人に確認すること.
<大学> 9月1日付けで出講調査した.しかしカリキュラム改正などで連絡が12月ごろになることもある.
5 一方的な雇い止め,正当な理由のないコマ数減をしないこと.カリキュラムを大幅に変更するときは担当の非常勤の意見を聞くこと.これらのことをすべての専任に周知徹底すること.
<大学> 各学部の教授会で決めることなので,私のほうからは申し上げられない.
<組合> 正当な理由のない雇い止めはしない?
<大学> カリキュラム改定によりどうしても増減がでる.正当な理由がない雇い止めだというクレームは今のところ聞いていない.
6 コマ削減の場合は専業非常勤を優先的に残すこと.雇い止めの場合はその理由を当事者に伝えること.
<大学> これも学部教授会で決めることだが,言文センターでは専業非常勤を優先している.
7 契約後の不開講については,賃金全額を支払うこと.
<大学> 昨年度から改定して,三か月分お支払いしている.ご理解いただきたい.
8 出産,育児,介護を理由に雇い止めしないこと.
<大学> 次年度採用時に学部で決めていることだが,具体的なケースがあったのか?
<組合> 具体的なケースはないが,労基法でもしてはいけないと決められているので,「しない」と確約してほしい.
<大学> 出産を理由とするケースは知らないが,雇い止めに関しては,学部のほうで本人と相談して決めているはずである.学部の専決事項なので・・・・.
9 非常勤にかかわる規程の変更は,当組合に意見を求め,報告を行なうこと.
<大学> 従来からその都度お知らせしている.
<組合> 意見をきかれたことはない.今後事前に意見を聞くこと.就業規則を変えるときはお知らせだけではだめ.
10 厚生労働省の「パートタイム労働指針」を遵守すること.
<大学> 非常勤も「指針」の対象になると認識しているが,一挙に,というわけにはいかない.順次考えていきたい.
11 非常勤給与補助額が1・5倍化したことをうけて,それを給与に反映させること.
<大学> 大事な点であるとは認識している.しかし補助金は個々の教職員・学生を対象にしたものではない.校舎の改築もしているし,一般補助も減っている.したがって今すぐこれを反映するという約束は出来ない.
<組合> 1・5倍化の意味をどう理解しているのか?
<大学> 組合の交渉の結果でしょう.朝日の記事も読んだ.非常勤が厳しい状態にあることは理解している.ただ他大学との競争もあって,現状はいかんともしがたい.
<組合> ここ10年で専任100人増員計画があるが.
<大学> それは専任一人当たりの学生数が多いから.
<組合> 文科省が専任と非常勤の均衡待遇を考えているということが大学側にはわかっていないということはわかった.当組合の試算によると,464円単価が上がるはず.ただし,これは最低限の話で,均衡待遇ということでいえば,補助金の算定単価から試算すれば非常勤のひとコマは33705円が妥当である.同志社はお金はもっている.にもかかわらず,非常勤の単価はここ数年上がっていない.またランクアップに10年かかるのもおかしい.3年または5年でアップせよ.
<大学> おっしゃることはわかるが,非常勤給与に反映できない.校舎改築で非常勤控え室も改善している.
<組合> なぜそれが均衡待遇になるのか.控え室は,専任も非常勤もみな使用するものだから均衡待遇とは無関係.補助金アップの意味がぜんぜんわかっていない.非常勤の給与に反映されないとアップの趣旨がいかされない.非常勤の補助以外に使用してはならない.大学は専任と非常勤の給与が均衡していると思っているのか?
専任の一コマあたりの給与は,人件費を持ちコマ数で割れば,118万1000円.非常勤のそれは18万4000円.先ほど教育と研究は不可分とおっしゃった.教学を除いて,給与の6割は教育研究の対価.ならば118万円の6割は78万円.しかし,大学側は18万円で均衡していると思っている.それとも思ってないのか?
<大学> 一概には答えられない.格差は認めるが,均衡しているかどうかという観点には立てない.身分が違う.
<組合> 研究の成果を教育に反映しているという点では同じ.格差があるのは仕方がない.均衡かどうかを問うている.また,お金がないというが,同志社の校友会の出している新聞によると,アナリストが同志社の消費収入差額は38億円と指摘している(2003年度).非常勤の給与を倍にしても,現在の8億×2=16億.あと8億出してもひびかない.アナリストも,人件費抑制効果が出ていると指摘している.
<大学> 我々専任もここ3年給与が上がっていない.
<組合> 元がちがうだろう.どうしてそういう比較の仕方になるの?
<大学> どこの大学もそれくらいはもっている.それらのお金は,基本金に組み入れて増員・改築にあてている.
<組合> ちがう.それらを差し引いた金額が38億円.どうして給与を上げられないのか.
<大学> 法人全体として倒産は許されない.中・長期の見通しを持って経営している.
<組合> 引当資産が350億円,現金預金が315億円,有価証券が46億円,将来も安定していると新聞にも書いてある.8億円出せないのならその根拠を,次回の団交できちんと出すように.理事会で承認されたものを,数字で出してほしい.
<大学> 団交とするかどうかは未定.長年話し合いということでやってきた.
<組合> それは団交否定の根拠にならない.当組合も話し合いでよいなどといったことはない.総務部長がはっきり数字の根拠を挙げてアップできない理由をはっきり言えないのなら次回団交するしかない.また,団交にするかしないかは総務部長ではなく理事会が決めること.ところで,アップできないのは他大学とカルテルを結んでいるからではないのか?
<大学> カルテルはないと明言できる.他大学の動向は気になるが.
<組合> 団交に応じなければ,地労委に訴える.
12 ひとコマあたりの給与を二倍化すること.
<大学> 中長期的計画があるので厳しい.
13 夏期冬期の一時金の支給
<大学> なし
14 退職金の支給
<大学> なし
15 私学共済・雇用保険への加入
<大学> 週20時間以上が条件.これは同志社の基準だが,勝手にそう決めているのではなく,私学共済の趣旨から,このように決めている.
<組合> 週4コマではいれると決めればそれでいけるはず.大阪電通大は週3日もしくは5コマで加入できる.前向きに検討してほしい.
16 日本育英会の奨学金の返済免除を文科省・育英会に働きかけること.非常勤に対する国の助成金増額を働きかけること
<大学> 個々の大学から働きかけるのは難しい.
17 労基法に基づいた雇用契約書および就業規則を作成すること
<大学> 講師規程でその代わりとする.
<組合> 第3条2項「前項の任期満了により雇用契約は終了し,退職する.」労基法改正に伴い,こういう表現になったと思うが,期限がきたから「はい終り」というのは一方的雇い止めになるのでこれを行なわないことを確約せよ.
<大学> これを明記しないと任期が継続しているということになってしまうので,単年度契約であるということをいっている.また,非常勤は短時間の嘱託なので,就業規則はなじまない.
<組合> 2項を取らないのなら,退職金を支払え.次回の団交の議題にしたい.
18 授業準備経費を含む研究費をひとコマにつき,最低年額3万円支給せよ
<大学> 採用の時に教育能力の高いかたを採用している.だから研究費を出さないということではないのだが.
<組合> つまり研究費なしでも教育能力のある人を採用しているから,研究費はいらないということか(笑).
<大学> 一年契約で採用しているから,そういう能力の高い人を採用しているという意味だ.
<組合> ではその一年は研究しなくても過去の遺産でやってくれということか?現金支給が無理なら,例えばコピーカードを支給するとか,具体的なことを考えよ.
19 一クラスの人数を適性規模にすること.超過人数の場合は特別手当を支給すること.
<大学> 適性規模についてはその方向で教育効果を高めたい.任期つき教員の増員も含めて.今のところは5年契約で6年目はなし,という形を考えている.05年度から始める予定.ただし,この計画は非常勤を減らすということとはリンクしていない.それは明言できる.
<組合> そのような約束をなぜ総務部長ができるのか.明言されるのなら,それはうれしいことだが.
<大学> 少人数教育充実のためという趣旨なので・・・・.
<組合> 夜間コースの手当ては専任には出ていると思うのだが,非常勤にはでていないので出してほしい.
<大学> 調べて,お答えしたい.
20 有給の産休・育児休暇の規程をつくること
<大学> 検討課題としたい.
<組合> 週二日きている人は年次有給休暇を受けられるはずだがそれはどうなっているのか.
<大学> それも検討課題としたい.
21 健康診断の実施
<大学> やっている
22 身分証明書の発行
<大学> 請求があれば希望者に発行している.
<組合> 今後は自動的に全員に発行せよ.
<大学> 検討する.
23 組合掲示板を講師控え室に設置せよ
<大学> 京田辺の控え室にはある.
当組合は次回は団交を要求することを再度主張して,交渉を終えた.
(文責 長澤)