出席者
○立命館大学 教学部副部長ほか計6名
○京滋私大教連書記次長
○非常勤講師組合 副委員長・書記長・執行委員3名
(当日は,「追加項目」,「立命館 - 個別要求」,「04年度労働条件改善要求項目」,そして組合員の声を伝えるという順序で進められたが,文章化にあたり,「04年度労働条件改善要求項目」,「追加項目」,「立命館 - 個別要求」,「組合員の声」の順で整理した.)
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[2004年度労働条件改善要求項目]
1) この話し合いを正式な団体交渉と位置付けること (以下の項目について責任を持って回答できる担当者,理事および教学担当理事が出席すること).
立命:従来からの懇談会形式である.理事者の出席をとあるが,内容については上位者と相談しながら調整をして回答している.非常勤講師組合としては団体交渉として位置づけられているが,それはそうとして認めていきたいし,我々としては懇談会という形式でやっているということでご理解をいただきたいと思う.
2) 話し合いの後,文書により回答すること.
立命:従来通り,組合の方で内容を確認したいということであれば,その文章を見させていただいて合意できるものとそうでないものとをはっきりさせていきたい.
組合:今回も組合で文章を作成し,それで確認させていただきたい.
立命:いろいろな要求項目があると思うので,事前の事務折衝で議題整理をするなかで,担当理事が出てくる必要があるという議題があれば再度調整をさせていただく.
組合:議題によっては理事の方が出席いただけるということ,重要発言として確認させていただきます.
3) 貴大学の現状について,以下の点を明らかにする資料,「出講案内」を事前に当組合へ送付すること.
1.教員数 (雇用形態別※にそれぞれ)
2.自己都合による者も含めて,昨年度で雇い止めになった非常勤講師の人数と今年度新規採用された非常勤講師の人数
3.授業のコマ数 (雇用形態別に※)
4.教員に支払われている給与の総額 (雇用形態別に※)
5.常勤教員給与に占める授業担当・研究・教学運営 (教授会,入試,カリキュラムなどに関わる労働) のそれぞれの割合
6.教育と研究の関係についての貴大学の見解
7.教員給与に対する助成金の総額 (雇用形態別に※)
※「雇用形態別」とは,常勤教員・本務校のある非常勤講師・本務校のない非常勤講師のことです.
立命:人件費について説明.教員人件費の内訳は,本務教員と兼務教員,兼務教員に非常勤講師と客員教授を含む. - 以下省略 -
組合:数字についてはまた質問をまとめて事務に問い合わせることとしたい.
<雇用の安定化>
4) 次年度の契約は遅くとも10月末までに本人に確認すること.
立命:それぞれの語種で10月までにはお声がかけが行われている.最終の確定は大きな語種のところは今調整に入っている.出講希望調査の後それを調整して出講のご案内が12月の頭くらいから発送になる予定.
5) 一方的な雇い止め,正当な理由のないコマ数減を行わないこと.カリキュラムを大幅に変更するときには,担当の非常勤講師の意見を聞くこと.またこのことをすべての専任教員に周知徹底すること.
立命:事務折衝の時の返事と同じ.
組合:一方的雇い止め,正当な理由のないコマ減は行なっていないし,これからもしないということですよね.
立命:そうです.
組合:そのように確認させていただきました.
6) 非常勤講師のコマ数を削減する場合は,専業非常勤講師を優先的に残すこと.やむを得ず雇い止めをする場合は,その理由を当事者に伝えること.
立命:この文面通りかという質問に対しては,本学では雇い止めという考えはない.雇い止めということはやっていない.
組合:解釈としては期限が来たと解釈しているということですか.
立命:そうです.毎年開講計画を立てて,毎年大学の方の教授会,最終的には大学全体の協議会というところで任用を決定している.雇い止めというかというのは相違がある.
組合:雇い止めは契約を更新しないという意味で私たちは使っている.
立命:だからそこのところで我々は,雇い止めというのは一方的な雇い止めはしておりませんと申し上げている.
組合:項目5) は一方的な契約を更新しないということはしていないし,これからもしないというということではないのか.
立命:契約は毎年度の契約です.契約の更新だとか継続だとかいうことは大学は一切していない.
組合:仕組みの問題ではなくて,期限がある労働者も何年か更新,更新の認識がそちらは違うようだが,現在の法解釈では雇用が何年も続いていて,雇用がなくなれば雇い止めと解釈されている.そのレベルの話ではないのか.
立命:毎年科目の担当が変わることもありますし,その次の年度の科目の担当者として任用するのがふさわしいかどういかことを審議している.
組合:それは学内システムということで,私たちは雇用される労働者の権利としての話しをしている.何年も採用されているのにある年に来年から採用しませんよということについては雇い止めと呼んでいるし,これは非正規労働の問題をあつかうところではそう認識されている.ちょっと認識に混乱があると思うのでお考えを整理していただきたい.そうでないと非常に困る.
7) 契約後履修者が少ないなどの理由で開講しない場合は,契約期間内の賃金は全額を支払うこと.
立命:非常勤講師規程の通り,開講案内に書いている通りです.
8) 出産,育児,介護を理由に雇い止めを行わないこと.
立命:こういうことはない.
9) 非常勤講師にかかわる規定の変更などについては,当事者である当非常勤講師労働組合に意見を求め,報告を行うこと.
立命:そういうことはない.具体的に規程とは何をさしているのか.代表する組合に意見を聞くということはあるが,その場合非常勤講師組合にきくということになるかどうかはわからない.労働者を代表する,にきくというかたちになるということになる.
立命:いろいろ立命に働いている労働者の代表としてどなたになるのかと,個別の組合にいちいちきくという情況にない.
組合:パート労働法の精神では当事者の意見を聞くという努力をすることになっているので,その回答では満足はいかないし,非常勤講師規程が就業規則であるということについても納得がいかないので,これも引き続き検討課題とさせていただく.
立命:ある程度就業規則等の制定にかかわったり,いろんな問題については労働者の代表については意見を聞くという,考慮するということに基づいてやっていきたい.
組合:それもまた具体的につめていきたい.
<労働条件の改善>
10) 厚生労働省が出している「均衡待遇ガイドライン」(訂正:パートタイム労働指針) を遵守すること.
立命:努力義務ですよね.努力はします.
11) 私立大学等経常費補助金のうち非常勤講師給与費の大幅増額 (「標準経費」が時間あたり3400円から5100円に1.5倍化) を給与に反映させること.
立命:基本的に経常費補助がこういうかたちであがったので,我々からすれば,補助金が増えたからといってすぐさまそれを反映するという情況にはありません.
立命:人件費の関係からいうと専任も過去5年間ベースアップゼロになっている.今の財政状況のなかでの人件費のありようからはすぐ反映するという情況にはない.
組合:単価見直しの趣旨はご理解いただいているか.組合の試算では783円のアップが可能である.実際に「非常勤教員給与費」の16年度予算は増額されている.大学は均等待遇についてちゃんと考えているのか.
立命:だから努力をするという.
組合:783円というのも,最低限これだけは出しなさいという要求.補助金単価計算では専任573万年間収入としているが,立命館大学30歳講師の年収モデルは700万円で1.22倍.現在の非常勤講師最低ランク級の25,200円に1.22をかけると30,744円となる.誠意があるのなら回答を30,744円とすべき.最低限の783円にもしないというのでは納得しがたい.
組合:この点については回答の権限をおもちなのですか.
立命:有額回答をする権限はないです.いまおっしゃったことについて,お聞きしたうえでしかるべきところに伝えて,この段階でこれ以上この話しを続けてても,
組合:だから今度はきちんと団体交渉ということで,全権委任をされた理事のかたにでていただいて,話しをもたせていただくということになります.
組合:組合としては,京滋私大教連と立命館の教職員組合のご協力を得て,教職員組合からは意見書を出していただけるというにほぼなっているので,この賃金問題についてはあたらめて団交を申し入れる予定.その時には理事の出席を強く要求します.
12) 1コマ当たりの給与を2倍化すること.
立命:特にない.
組合:立命館の人権比率は圧倒的に低い,全国平均は50%,立命館は40%,確かに経営としては優秀な大学かも知れないが,もう少し教える教師にそれなりの処遇をだすようにしてはどうですか.
立命:今の時点ではいわかりましたという返事にはならない.
組合:「パートタイム労働指針」均衡の努力をしなくてならない.非常勤講師と専任講師の賃金の均衡待遇の実現にむけてどのような努力をしているのか.
立命:現状では研究をしてやっているという情況しかない.
13) 夏期冬期の一時金をそれぞれ二か月分支給すること.
立命:現状維持.
14) 退職金を支給すること.
立命:現状維持.
15) 非常勤講師を私学共済および失業保険に加入させること.
立命:四分の三,もしくは三分の二という方について,本学は今の時点ではやっていく.大阪電気通信大学の例について私学事業団にきいた範囲ではそいういうこともありうるときいた.ただ本学の情況のなかで今何コマ以上だったらOKということについては判断ができない.
組合:四分の三を機械的にでなくて,もっと柔軟的に考えてほしい.
立命:雇用保険は,私立学校全体で考えていますが,現状としましては専任教員については入らないというかたちで厚生労働省のほうにはやっていきたいと思っている.そいういう関係でいいますと非常勤講師のみなさんも今の時点で入るという形では我々は考えていない.任期制の講師の方は入っている.任期制の教授の方も希望があれば入ることができる.
16) 専任教員と同様に日本育英会の奨学金返済を免除するよう文部科学省,育英会に働きかけること.大学非常勤講師に対する国の助成金の増額を文部科学省に働きかけること.
立命:昨年と同じ.
17) 労基法に基づいた雇用契約書および就業規則を作成すること.
立命:事務折衝でも言いました,専任の方の全体の就業規則を改正する段取りに入っていますので,その中にいろんな多様な雇用形態の方がいらっしゃいますので,そいうかたの就業規則をつくるということで条文の今調整をはかっています.
組合:多様なというなかに非常勤もはいるということですか.
立命:たぶんそうなるでしょう.よくわかりませんが.最終的には弁護士とよく相談しながら,どういうかたちが一番いいのか考えていきたいと思っています.
組合:この件は初耳のような気がします.この問題も後日詳しいことは聞き直したいと思います.
組合:雇用契約書は?
立命:うちでいうと応諾書ということでやっている.
組合:あれは契約書なのですか.
立命:そうです.対社会的に見たらあれで十分通用する.
18) 授業準備の経費を含む研究費を,1コマにつき最低年額3万円支給すること.
立命:検討していない.
19) 1クラスの人数を適正な規模に制限すること (一般講義100名以内,ゼミ,外国語30名以内).また受講者数が基準より多い場合には,超過する人数に見合った特別手当を支給すること.
立命:検討していない.
20) 有給の産休・育児休暇の規定を作ること.
立命:検討していない.
21) 健康診断を非常勤講師も受けることができるようにすること.
22) 身分証明書を非常勤講師にも発行すること.
23) 組合の掲示板を講師控室に設置すること.
組合:これは先に回答をいただいたということで省略します.
(編注:下記の[立命館-個別要求]のところに回答がある)
[追加項目]
1) 図書館 (中央図書館) の貸し出し条件を専任と同様にする.
立命:今年の4月から100冊を100日間借りられるよう大幅に改善した.
組合:専任の200冊,200日とは同様でないことについては,執行委員会で検討し,後日回答する.
[立命館-個別要求]
1) 出講手当を増額する.
立命:継続検討中である.12月の末に判断させていただきた.
2) 健康診断の対象を非常勤講師にも広げる.
立命:次年度,実施という方向で検討中である.4月の段階ではっきりさせたい.
組合:費用は無料ということか.
立命:そうです.
組合:検診内容は専任と同じ内容か.
立命:専任と同じ内容というかたちです.
組合:健康診断の案内については個人個人に個別に連絡してほしい.
立命:やれるかどうか検討させてほしい.
3) すべての控室にロッカーを設置する.
立命:昨年同様,施設上困難である.
組合:困難な理由は何か.
立命:場所,予算,使用頻度の問題である.
組合:場所など具体的に提案したらいいのか.
立命:検討はさせてもらう.
8) 身分証明書を発行する.
立命:他大学の情況も調べた.基本的には図書館の利用の為のカードで身分証明書としては発行していない (同志社).身分証明書は在職証明書ということでお願いをしたい.
組合:この件について執行委員会で再度検討してお返事したい.同志社のケースを組合でも再確認する.
9) 紀要への執筆に関する情報を開示する.また「開講案内」に掲載し,控室に掲示する.
立命:非常勤の先生だからといって載せられないということではない.
組合:全学部ですか.
立命:出講案内に掲載されているものについてですね.
組合:ここには非常勤という文言はない.
立命:もし非常勤も対象になるという一文が必要であるならばその一文を載せたいと思います.
組合:必要でありますので載せてほしいと思います.
10) 非常勤講師組合の掲示板をすべての控室に備える.
立命:前年度と同じ回答,専任の組合にもそのような掲示板はなく,設置するスペースもない.
13) 「開講案内」に,教材用カセットテープ,ビデオテープの支給について掲載する.また,MD・MO・FD・CD-Rも支給する.
立命:MD・MO・FD・CD-R等々については学内に施設条件の標準設備ではないのでこれを提供するということはしていません.
組合:予算的にそう出費はかからないのではないか.考えてほしいのは非常勤としてはよい授業をしたいということでの要望である.単に自己負担をしたくないからではない.大学としてよりよい授業を作っていくという姿勢で取り組んでほしい.授業以外に使われるのを懸念しているのなら申請書類をきちんと書かすなどして対策をとればいいのではないか.再検討をお願いしたい.事務折衝の折,調査を依頼したIT化支援室関係についての問題は後日事務レベルで回答をもらう.
[組合員の声]
組合:以下,組合員からでている声について,ゼミを担当している方からの声で,卒論指導をしているが,個人指導ができる部屋を用意してほしいとのこと.このことは事務に申し出たが,事務方ではそれはできないとの返事で,それで空いている教室を使って個人指導をしている情況.現在大学ではこういう問題について解決するルートがあるのか,ゼミを担当して卒論指導をする非常勤講師への配慮などはどうなっているか.
立命:一応部屋は,個室ではないが,修学館1階の左のラウンジがそういう部屋である.
組合:そういうことは非常勤に案内がでているのか.
立命:周知徹底の仕方が不十分じゃないかと言われれば,できるだけ周知徹底するようには言っておきます.
組合:できるだけ案内をつくり周知徹底していただきたい.声をあげていただいた先生やゼミを担当している非常勤の方と連絡をとって,よりよい方向での解決をめざしたいと思います.
組合:交通費について,02年からJR100キロ相当分となっているが,この方は121キロで,これは100キロで必ず切らなければならないものなのか,どこにそれが決められているのか提示してほしい.また21キロをなんとかしていただけるのなら,即座に改善していたきたい.
組合:補講の日について,例えば先だって台風で休講になりその補講日が急に設定されたが,私たちは水曜日なら水曜日ということで契約している.この情況をどう解釈されているのか,これまであいまいになっていたのではっきりしていただきたい.学年歴で始めから土曜日に補講が入っている場合についても,産大など土曜日に授業をしていることろもあり,もう少し細かい対応をしていただかないと困る.今後論議をつめていきたいと考えている.
組合:合宿所の利用についても非常勤が利用できるのかできないのか,既存の規定がどうなっているのか説明してほしい.(学生セミナーハウス)
組合:項目3) の5.常勤教員給与に占める授業担当・研究・教学運営 (教授会,入試,カリキュラムなどに関わる労働) のそれぞれの割合と,6.教育と研究の関係についての貴大学の見解についてきかせてください.
立命:単純にわれわれが回答ができない,それぞれの該当する分野で違っている.6番は意味がよくわからない.教育と研究は不可分である.
以上