京滋地区・阪神圏の2大学非常勤講師組合の合併に当たって

2004年3月14日
阪神圏大学非常勤講師労働組合執行委員長 新屋敷健

1995年に京滋地区私立大学非常勤講師組合が結成され,更に1999年には阪神圏大学非常勤講師労働組合が結成されて以来,この2非常勤講師組合は,大学非常勤講師の劣悪な教育・研究・労働環境を改善するために,共に活動してきました.この間,2組合は各大学と地道な団体交渉を重ね,非常勤講師の待遇改善を目指し,理不尽な雇い止めに対し力の及ぶ限り闘い,それなりの成果を積み重ねてきました.

しかし,大学受験生数の急速な減少や国立大学の独立行政法人化への動き等,大学を取り巻く環境が激変するにつれて,非常勤講師問題も深刻化しています.従って関西地区を活動拠点とする両組合も,活動力の強化が急務となっていました.このような状況の中で,京滋地区・阪神圏組合双方から合併の話が持ち上がり,それによる組織力・活動力強化への道筋がおのずと見えてきたのです.つまり分散されていた力を結集し,従来の活動を強化することが可能になります.

また合併後に取り組む具体的問題の一つに,独立法人化後の国立大学非常勤講師を取り巻く問題があります.現在これらの非常勤講師は「国家公務員」と規定されていますが,独立法人化後は民間労働法制下に置かれ,私立大学同様に「労働者」として扱われることになります.その結果,国立大学の非常勤講師問題もようやく「労働問題」として認識されることになり,各講師も初めて,労働問題の主体となるわけです.

これらの状況下で,合併し組織強化した「関西圏大学非常勤講師組合」の活動が更に要請され,その存在価値が問われることになるわけです.大学の教育現場での非常勤講師の声なき声を集約しそれを大学自体の改善に活かしていく,そんな組合を関西圏大学非常勤講師組合は目指しています.