非常勤の声

『非常勤の声』第7号

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2005年12月3日発行

関西圏大学非常勤講師組合
〒542-0012 大阪市中央区谷町7丁目 1-39-102 大私教気付
委員長:新屋敷 健
郵便振替 00950-2-203528
URL: http://www.hijokin.org
E-mail: infoアットhijokin.org

龍谷大学 昨年度に引き続き非常勤単価をアップ!

9月21日の団交において,05年10月からCランクを300円増額し,月額28300円に,Dランクを500円増額し,月額27400円にすると回答があった.これは昨年度の200円アップ(C・Dランク)に引き続くものである.大学側は「このアップは,私立大学等経常費補助金のアップを反映したものであるが,補助金が減額しても連動して賃下げすることは考えていない」と回答した.同大学が「他大学より常に一歩前に出る」姿勢の現れであると評価したい.

その他の回答:英語教師特任講師制度はまだ導入二年目ということもあり,評価するにいたっていない.今後,新たな有期雇用制度を導入する予定はない.産休は制度化していないが,出産を理由とした減ゴマ・雇い止めは行っていない.育児休暇・介護休暇の制度化の予定はない.専任との均等待遇については努力しているが,専任の労働に占める授業・研究・校務の割合を示し,それとの比較をするという視点からではない.ロッカーを増設した(120).インターネットは,今後利用できるように検討する.授業目的のカセット・ビデオテープ,CD-R,DVD―Rなどの支給を検討する.慶弔見舞いの金額を出講手帳に記載する.やむなく減ゴマを行うときは,本務校のある専任から打診し,専業非常勤を残すように努力する.

(文責・長澤)

16年度私学助成の「非常勤教員給与費」の増額分は,大学の懐ではなく私たちの手元へ!

■一昨年,私学助成の非常勤教員給与費の補助単価が1.5倍化されたのは,全国の大学非常勤講師組合が専任教員との格差是正を求めて,文部科学省に4年間かけて粘り強く陳情を行なってきた結果である.ですから,増額された補助金は私たちの手元に届いてこそ,その趣旨が生かされる.組合の計算では,同補助金の16年度の1コマ1月あたりのおよその増額分は,関西大学で562円,京都産大で852円,同志社大学で1,611円,立命館大で1,096円,龍谷大学で458円となる.

■団交で非常勤講師給の大幅アップを勝取ろう!
 以上のうち,龍谷大学では増額分以上の賃上げがすでに実現している.また,京都産大では昨年度400円アップを実現しているから,今年度は残り450円以上の賃上げは当然である.そして,格付け会社から2年連続で大学では最高評価の「AA+」を取得して「健全経営」の同志社大学には,同じく「AA+」の慶応大学なみの非常勤講師給を期待したいものである.

■慶応大学の非常勤講師給は次の通り.
 30歳以下で33,000円30〜35歳:33,500円,36〜40歳:34,000円,41〜45歳:34,500円,46〜50歳:35,000円,51〜55歳:35,500円,56歳以上:36,000円, 名誉教授相当:37,500円で,これに,夏季一時金が4〜5コマ未満で44,000円,5コマ以上で60,000円,そして,年末一時金が4〜5コマ未満で60,000円,5コマ以上で80,000円が支給される.
ちなみに,専任教員の基本給は同志社と慶応大でほぼ同じである.

関西大,同志社大との団交のお知らせ

関西大:12月16日(金)午前10時より
同志社大:12月16日(金) 午後6時より
参加される組合員の方は事前に執行委員までご連絡ください.

<各大学との争議交渉>

神戸女子大で雇い止め撤回!

神戸女子大学で,外国人講師に雇い止めの通告があったが,団体交渉を申し入れ,団交の日程が決まったころ,交渉を待たずして,雇い止め撤回の通知があった.以下は当該組合員からの投稿.(遠藤)

雇い止めの通知を受けて

後期最初の授業が終わって教室から出ると,専任の先生が待っていた.雇い止めの知らせは早い方が良いという気配りで知らせに来たと言われた.二年ほど前,非常勤講師の継続雇用は5年が上限だという知らせを受けて以来,日々に増してきた首切りへの不安はとうとう現実となった.10年間黙々と働いてきたのに,こんなに簡単に打ち切られるのかと,悔しいのかむなしいのか憤りか分からない気持ちで胸が一杯だった.

その時,思い出したのは以前手に入れた非常勤講師組合のチラシだ.とにかく胸に詰まったものを吐き出したい気持ちで,相談連絡先にメールを送った.すると,暖かい返事がすぐ返ってきた.入会して組合と一緒に闘わないかという誘いだった.正直に言うと,その時は迷っていた.以前よその友人と組合のことを話したとき,「そんな所に関わらないほうがよい,日本では組合は嫌われる」と言われたことがあるから.自分はもともとよそものだし,それ以上変なものと見られたら困ると思うと,すぐうんと言わなかった.

自分ひとりで解決できればと思って,自分で学校の上層部に雇い止めの撤回を求めた.ところが「組織で決まったこと」と言う理由で撤回には難色が示された.仕方がないかと諦める気持ちになったけれど,一応約束した時間に組合の先生に会いに行った.リラックスした話しで励まされた.どうせ死ぬなら俎上の鯉より戦死のが悔いがないと決心した.

組合との交渉が始まったとたんに学校の対応が変わった.一昔私の国では「用があれば,組織に頼り」という言葉が流行したが,まさか日本でも当たったのだ.一個人の無力さを痛感したと同時に,弱い立場に立つ人は自分の権利を主張するため,やはり組合の下で団結する道を選ぶことが限られた有効な道ではないかと,私と同じ立場に立つ先生達に言いたい.

甲南女子大で不開講補償勝ち取る!

甲南女子大学では,ある非常勤講師の担当する授業の受講者がいないということで,「雇用契約書」の規定により,「受講者数が確定した日の属する月」までしか給与を支払わない,つまり1か月分しか支払われないということになりかけていた.この非常勤講師からの訴えで,団体交渉をもち,この不開講については授業担当者である非常勤講師にはなんら責任がなく,「使用者の責による休業」であるから,労働基準法第26条にもとづいて,大学は賃金の60%以上の「休業手当」を出すように要求したところ,不開講分の給与の6割を支払うことを認めた.今後,甲南女子大学で不開講があったら,6割以上の「休業手当」を出すように申し出よう.本来なら,非常勤講師の契約は有期雇用契約ですから,使用者側の都合での休業の場合は,賃金の全額支給が原則だが少なくとも6割以上の「休業手当」は要求していこう.

(文責・内藤)

甲南大で雇い止め通告撤回!

甲南大学では,ある非常勤講師が専任教員から嫌がらせを受け,そのあげくには雇い止め通告まで受けたが,組合で交渉にあたり,調査委員会を作らせて,事実関係の調査を行なわせた.その結果,大学は事実関係を認め,その専任教員に厳重注意を行なうとともに,今後二度とこうしたことが起きないようにするための措置を講ずることを約束した.もちろん雇い止め通告も撤回させた.

(文責・内藤)

静岡文化芸術大学でも年次有給休暇が!

浜松にある静岡文化芸術大では,2005年度より11%の賃下げと1日2600円の旅費日当の廃止が断行された.非常勤組合では2004年度末から,賃下げ撤回と日当の復活を要求して交渉を続けてきたが,大学は 「県から補助金をもらっている関係で,県立大にすべて合わせることになっている」 として,すべての責任は県にあると主張し要求を拒否している.とはいえ,均等待遇実現の努力をしなければならないことや,年休と産休を労基法どおり適用することを確認し,またそのための諸規定整備を約束させ,1日800円の旅行諸費の創設させるなど,一定の改善を見た.賃下げ撤回については県との交渉も視野に入れて粘り強く交渉を続けていきたい.

(文責・遠藤)

愛媛大学 時間給切り下げ撤回要求を拒否

9月26日,愛媛大学においてはじめての団交が開かれた.04年度に,時間給が5500円から5000円に切り下げられたが,「単価改定には合理性がある」との一点張りで,組合の撤回要求には応じられないというものであった.合理性とは「人勧が下がってきたので,非常勤単価も下げた」というものである.時間給がなぜこの金額なのかとの問いには「昔にそう決まった.昔はそれなりの合理的な理由があったのだろう.今となっては知らない」とのこと.「ならば,専任との均等待遇を目指して,改めて時間給の根拠を決めるベく話し合おう」との組合の主張にはまったく耳を貸さなかった.専任との均等待遇はおろか,教育の質をどう保証するのか,そのために非常勤の労働条件をどうすべきかなどという観点は皆無であった.交通費も支給されていない(理事「これは四国の常識である」).

その他の回答:カリキュラム変更を原因とする減ゴマについては,「講義内容の質が同等である場合は」本務校のある専任から先に打診する旨,配慮する.健康診断は,しない.有給休暇制度については検討してみる.

今後はメールでやり取りし,検討項目の実現を迫る予定.第二回の団交も予定しているが,今回のようにまったく譲歩する気のない態度に終始した場合は労働委員会に訴えることも考えている.

(文責・長澤)

APU(立命館アジア太平洋大学)での常勤講師制度廃止問題

2000年4月に開学したAPUで働く常勤講師は,開学前もその後も,大学当局より継続雇用されるとの説明を受け,着任した.ところが大学当局は今年の7月になって突然,常勤講師制度の廃止と,来年3月で一応の契約が終了する4人の常勤講師の雇い止めを通告してきた.APU分会は「開学前の約束を守り,雇用の継続を」と要望していますが,大学当局は無視し続けている.教育の質の低下を阻止し,常勤講師の生活と研究活動を守る我々の取り組みに御理解とご支援を賜りますようお願い致します.

大分地域労働組合APU分会一同 (詳しくは(http://www.geocities.jp/apuunion/index.html)で

<定期団体交渉>

立命館大学で健康診断がついに実現

立命館大学との定期交渉が10月14日に行なわれた.大学側からはいつもの総務部次長に加え総務部長が出席し 「教学を良くしていくために話し合いたい」 「均等待遇実現のために努力する」 などと調子のいいことを言っていたが,肝心の賃上げの話になると 「補助金の1.5倍化については,文科省は均等待遇を考えて上げたとは思わない.本当に考えているなら,専任と同じ額 (※ひとり100〜140万円程度) を出すはずだ.だから賃上げはしない」 との回答で,均等待遇の意味が全くわかっていないようであった.しかしながら,長年要求してきた健康診断が,ようやく立命館大学でも実施されることになったことは,感慨深いものではあった.

(文責・遠藤)

京都産業大学で就業規則の事前協議を確約

京都産業大学との定期交渉は11月11日に行なわれた.有給の産休の制定の要求に対して,来年度より実施の就業規則を作成中であり,従来あった有給の病休 (3ヶ月以内) の規定を改善し,あわせて有給の産休も制定する方向で考えているとの回答.また,就業規則に関しては,来年の2月ごろ案が出来た段階で非常勤組合と事前協議することを確認した.

京産大では今年度コマあたり400円/月の賃上げを行ったが,さらに補助金の増額分の反映や,均等待遇実現について努力し,来年の賃上げは2月にむけて検討するとの回答であった.

なお,京都産業大学では,従来から授業に使用するカセットテープ,ビデオテープなどが支給されているが,加えてCD-RやDVD-Rなどの新しいメディアも支給している.これらのメディアが必要な場合は所属事務室に請求されたい.

(文責・遠藤)

「非常勤実態調査アンケート」にご協力を!

10月末より配布をはじめました 『大学非常勤講師実態調査アンケート』 もう回答はお送りいただけましたでしょうか.11月27日現在で,ネットからの回答251通,紙媒体での回答125通,計376通集まっています.前回の483通は軽く越えそうですが,1000通集まったとしても全国に2万人いると言われる専業非常勤講師のたった5%にすぎません.

前回の調査報告書は,多くのマスコミにもとりあげられ,また,各大学との交渉だけでなく,文科省との交渉や,国会の質疑でも利用され,補助金の1.5倍化や,国立大での賃下げ阻止などに大きな役割を果たしました.今回もたくさんのデータと声を集めて第3回の調査を成功させましょう!

回答がまだの人は今すぐ www.hijokin.org/en2005.html からご回答願います.紙のアンケート用紙が必要な方は,email (en@hijokin.org) または fax (075-201-1345) に,必要部数と送り先をご連絡いただければ郵送します.回答締切は2006年1月31日ですが,忘れないうちにお早めに!

(遠藤礼子)

冬季カンパのお願い

執行委員長 新屋敷 健

昨年3月に関西圏大学非常勤講師組合を結成して早2年になろうとしています.この間,非常勤講師組合は一貫して大学で働く非常勤講師の劣悪な労働条件を改善し,誇りを持って働けるよう,文科省交渉,法人化後の国立大学や多くの私立大学との団体交渉など多様な活動を行ってまいりました.

当組合は,今後もこれらの活動をより広く,活発に行っていこうと考えています.そのためにはしっかりとした財政的基盤は不可欠であり,皆様からのご支援のカンパをぜひとも必要としております.組合の活動にご理解くださり,多くの方がご支援をくださいますように,お願い申し上げます.

郵便振替:00950-2-203528(加入者名:関西圏大学非常勤講師組合)

愚痴っていても何も変わらない,自らの権利を主張しない者を守る法律はない
今すぐ非常勤組合にご加入を!

低賃金で、来年も仕事があるかどうか不安、健康保険や年金がつかない、研究者として扱われない、産休も安心してとれない、そんな非常勤講師の労働環境を改善するための闘いにあなたも参加しませんか?大学の授業の約1/3を担当する非常勤講師の労働環境を改善することは、あなたの生活と権利を守るだけではなく、大学の教育環境の改善にもつながります。

また、具体的なトラブルがある場合は、加入前でも、気軽にinfo@hijokin.orgにご相談を。

非常勤講師組合に加入される方は、www.hijokin.org の「加入案内」の専用フォームからお申し込みください。インターネットにアクセスできない方はファックス (fax 075-201-1345) で,「組合加入」 として (1)氏名 (2)氏名のフリガナ (3)住所 (4)電話 (5)fax (6)email (7)専門分野 (8)担当科目 (9)出講先 (すべて) を送ってください。

組合費は5000円/年 (総年収150万円未満の方は2000円/年) です。1年分を郵便振替 00950-2-203528 「関西圏大学非常勤講師組合」に振り込んでください。

加入申し込みなしで振込だけをされる方が増えています。申込がないと手続きができませんので、必ずホームページから、あるいはファックスで申込書を送ってください。