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非常勤講師給は,単純に常勤講師を時間で割ってというような形ではなくて大体三倍弱
非常勤講師給は,法人化になった途端にどんと下がるというようなことはあり得ないし,あってはならない

156-参-内閣委員会-14号 平成15年06月12日

○川橋幸子君 ・・・
 先に、関係部分の方から入りたいと思います。
 前回報告書の中では、日本政府に対する勧告としては、やはり働く女性たちの賃金の問題、雇用の問題について格差縮小といいますか、差別がないように政府として適当な措置を取るべしという、こういう点が要約すれば大きかったと思うわけでございます。その中で、最近、日本では非常に大きな問題になっておりますのが雇用形態の多様化の中でパートタイム等労働者が増えてきている。パートタイマーと正規社員との間の賃金格差なり、あるいは正規社員には社会保険の適用、厚生年金の適用がありますが、なかなかパートタイマーの場合は社会保険にも加入できない。その結果、むしろ厚生年金なり雇用保険も含めた、あるいは様々な社会保障に共通すると思いますが、空洞化現象が起こってきているということがあります。
 ということで、厚生労働省の方ではパートタイム労働者等の均等処遇の問題、あるいは社会保険の適用拡大の問題について新しい報告を委員会の方にされたと思いますが、その委員会の方に出された報告、ないしは近々の厚生労働省の方で取られている施策について御説明いただきたいと思います。

○政府参考人(渡辺芳樹君) お答え申し上げます。
 パート労働者の適正な労働条件、処遇が確保されるようにするということは大変重要な課題であると認識しております。
 こうした観点から、今後のパートタイム労働対策につきまして労働政策審議会において議論が行われました。御承知のとおりだと思います。そこで、正社員とパートタイム労働者との間の均衡を考慮した処遇の考え方をパートタイム労働法に基づく指針に具体的に示して、社会的な浸透、定着を図っていくことが必要であるという御報告を三月中旬に取りまとめていただいたところでございます。
 厚生労働省といたしましては、現在その指針の改正案について内部的に検討を進めておりまして、速やかに労働政策審議会の方で御議論をいただけるように努力したいというふうに考えております。
 なお、厚生年金等社会保険のパート適用の問題につきましても、年金部会等で今いろいろな御議論をいただいていることは御承知のとおりでございます。

○川橋幸子君 という正確な情報が今御答弁いただいたところのようなことなのでございますが、これに関連しまして文部科学省の方にお伺いしたいということでございます。
 雇用形態の多様化と一言に言うと、様々な働き方が増えたんだろうなと一般的には理解されるわけですが、事実としては、非常に想像を超えるほど多様化といいますか、働き方の変化が進んでおります。雇用管理の仕方の変化が進んでおります。
 例えば、一番分かりよく表現をいたしますと、細切れ掛け持ちパートという、こういう言い方が女性たちの中で、あるいは女性だけではなくて男性も含めて多様な雇用形態の中では進んでいます。どういうことかといいますと、フルタイムというのはある事業所で八時間なりあるいは相当時間、週何十時間なり働くわけですが、事業所を替えて転々転々とされるわけですね。
 それで、その典型が大学の非常勤講師の方々にとても大きいと。大学の非常勤講師の方々の場合は、大学の経営難ということもあってコスト、人件費をカットしたいという、こういうニーズもあるとは思いますが、本質的に、例えば英語の授業ならこま数は多く要るけれども、非常に少数、マイノリティーの言語なんというのは一大学月一回あればいいということになりますと、本当に一週間五、六か所の大学を掛け持ちしながら、足し上げるとそれこそ週四十時間以上、フルタイマー以上に働く、生計もそれで維持している。フルタイマーと違うところは、ただ事業所によって細切れになる。だけれども、そこの合算ができないからなかなか社会保険の適用もうまくいかないと、こういう状態なわけでございます。
 そこで、二点お伺いさせていただきます。
 まず、先ほど厚生労働省の方から答弁のありましたパートタイム労働者等の処遇改善のためにはガイドラインを、行政指導の具体的なよりどころとなるガイドラインを今審議中だと、いずれ近々発表されるということになるわけでございます。そうした場合、国公立の大学の場合は今独法化が進んでおりまして、文教委員会の方で審議中なわけですが、いずれ通るでしょう。それが実施されると、今度は民間の労働者となるわけでございますね。そうしますと、パートタイム労働者等の法律がそのまま適用される。ですから、格差、均衡処遇を確保するためのガイドラインが厚生労働省から出た場合には、それはそっくりその非常勤講師の方々も適用されて、専任の講師、まさか教授と比べろとは言いません、類似の労働者ですから、専任の講師の方と非常勤で幾つか大学掛け持ちなさる方との賃金、これは均衡を保たなければいけないというガイドラインに沿った指導は文科省として当然なさるということですね、ということ。
 プラスして、私学は今でも適用があるわけでございますが、具体的なガイドラインがなかったということでございますけれども、具体的なガイドラインができれば即、独法化というようなその機構改正を待たずに適用される問題でございますね。お願いいたします。

○副大臣(河村建夫君) 川橋委員御指摘のように、現時点では、いわゆる時間給は、一般職の職員の給与に関する法律があるわけでございます。これに基づいて当該職員を常勤講師として採用した場合に受けることとなる月給ですね、いわゆる俸給ですが、この予算の範囲内で非常勤講師の給与も決めていると。この単価、単価は時間給という形でありますけれども。ただ、この場合に、講義時間以外にも講義のための準備や学生に対する研究指導等も行うということもございますものですから、単純に常勤講師を時間で割ってというような形ではなくて、高めにといいますか、大体三倍弱でありますが、経験年数という、いろいろ計算式はあるようでございますけれども、そのものを差し上げているという状況でございます。
 そこで、御指摘のいわゆる法人化後でございますが、いわゆるパート労働法の適用を受けるわけでございまして、通常の労働者との均衡等を考慮して適正な労働条件を確保するようにと、こうなっておるわけでございますので、法人化後において非常勤講師の給与はこの趣旨にのっとっていくということでございまして、これは、各国立大学法人においてそれぞれ自主的に、自律的に決めていただくと、こういうことになっておりますし、これは、国立大学法人に今度なりますと、運営交付金が算定して渡されるわけでございます。この枠の中でやるわけでございますが、
法人化になった途端にどんと下がるというようなことはあり得ないことであります。そんなことがあってはならぬわけでございまして、当然、今までの支給実績というものがまずありますから、それを踏まえて対応していかなきゃならぬと、こういうことになるわけでございます。その点は十分、今回、新しく今検討されておりますが、その趣旨を受けて対応するようにということでございます。
 また、私学においても、国立大学も法人化してこうなってまいりますから、それに準じた対応をしてもらわなきゃならぬと、このように考えております。

○川橋幸子君 明快なお答えをどうもありがとうございました。
 それで、それでは次にもう一点確認させていただきたいと思います。厚生年金を始めとする社会保険の適用拡大に関する問題でございます。
 これは、雇用保険法の一部改正の際の参議院厚生労働委員会における附帯決議でございますが、例えばその附帯決議の五項めに、私立大学を始め未適用の事業所に対する適用促進を強力に進めることということを政府に対して要請しているものでございますが、例えば、どうしてこういう要請がわざわざ入るかといいますと、これは関西のある大学でございますけれども、非常勤講師雇用規程というものが、これは私学でございますが、決められておりまして、その中に、非常勤講師の社会保険の加入については本法人はその責めに任じないという。要するに、前、今までは働いている人たち自身が入りたがらないと言っていたんですが、いや、使用者の方がむしろその責任はありませんと言っていた部分があるわけですね、雇用主負担があるわけですから。
 こういうことはもうこれからは許されない。社会保険の適用拡大、週二十時間、年収六十五万ですか、このように要件緩和されれば、当然その資格が今の非常勤講師の方々に、緩和されれば加入資格が出てくるわけでございますが、もうそうした責めに任じないなんという大学に対しては文科省の方から指導すべき立場にはおありになると思いますが、この件についてのもう一つ明快な御答弁をちょうだいしたいと思います。

○副大臣(河村建夫君) 社会保険、厚生年金の問題だと思います。
 基本的には厚生労働省において取り組んでいられるところでありますけれども、これはやっぱり文部科学省としても、大学非常勤講師を始めとするいわゆるパート労働者でありますが、この問題、大変大事な問題だと考えておりまして、この適用が、今、厚生労働省の、今御指摘のあったように、四分の三以上、常勤の方の、以上あれば加入するんだということが、今度は二十時間ということで検討されているということでございますから、これによりまして加入の範囲が非常に増えていくだろうと、こう思っておりまして、当然、この検討の状況を受けて、大学の非常勤講師の実態等も踏まえながら、これはもう正に適切に対応していかなきゃいかぬ課題であると、こう思っておりますし、もう私学は、特に雇用保険のこともあるんでありますが、これを、是非加入をすべきであるということでこれまでも要請してきておりまして、この際に、私学の方に対しても一体のものとしてこの推進を更に努めてまいりたいと、このように考えております。

○委員長(小川敏夫君) 川橋さん、後の質疑の都合もありますので、時間でお願いします。

○川橋幸子君 はい。三十秒ぐらいですね。
 どうも、大変明快な御答弁をありがとうございました。何回か御質問して、今日ほどはっきり御答弁いただいたのは初めてでございます。本当に副大臣にお見えいただきまして、是非これからも御活躍願いたいと思います。
 ということで、私の持ち時間なくなりまして、また、坂東局長、済みませんでした。でも、対日審査、多分局長が政府代表になられるんでしょうから、差別撤廃委員会での日本政府の報告に対しては、このような状況を踏まえられて、なお努力する旨の御答弁をちょうだいしたいと、答弁といいますか、報告をしていただきたいと思いますし、このような形で女性の、働く女性の地位向上といいますか、差別解消が進んでいくことについて、男女共同参画担当大臣である官房長官にも更に御理解と御支援賜りたいということをお願いいたしまして、終わらせていただきます。
 ありがとうございました。